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童話でHappy♪

ハッピーエンドの童話たちが あなたの気分をHappy♪にしちゃいます
週2回(水・土辺りに)更新します

雪だるま
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    ナシ売りと青年(世界の昔話より)

    むかしむかしの話です。

     

    青年は、とある街に立ち寄りました。

     

    遠い街に出稼ぎに行き、長い仕事がやっと終わり故郷へ帰る途中です。

     

    青年が街をブラブラと歩いていると、道端で一人の男が荷車を停めて何かを売っているのが目に入りました。

     

    なんだろうと思い近寄って行くと、甘い果物の香りがしてきました。

     

    「さぁ、さぁ、甘いナシだよ。この辺じゃ取れない、甘くておいしいナシはいらんかい」

     

    男は通りを歩く人に声をかけていました。

     

    青年は、給料ももらったし、故郷の土産として買ってみようと思い、懐の財布を取ろうとしました。

     

    すると、ナシ売りの男に、青年よりも先に近づく者がいました。

     

    ボロボロの服を着たお爺さんです。

     

    髪の毛は長く、まったく手入れしていないようなボサボサのねずみ色をしていました。

     

    お爺さんはそのボサボサの頭を、ナシ売りに向かって深々とさげました。

     

    そして頭をあげると力ない声で言いました。

     

    「スミマセンが、ナシを一つ分けてはいただけないでしょうか、のどが渇いて渇いて、今にも倒れそうなもので」

     

    声をかけられたナシ売りは、とても迷惑そうな顔をして、

     

    「なんだい爺さん、金は持っているのかい?」

     

    「いや、持ち合わせておりません」

     

    「それじゃ、分けてやれる訳がないだろう、ほら、商売の邪魔だ、あっち行け」

     

    と、シッシッ、と手で払う仕草をしました。

     

    お爺さんは、しょぼん、っと肩を落としてその場を去ろうとしました。

     

    「ちょっと待って、お爺さん」

     

    青年はたまらずお爺さんを呼び止めました。そして、ナシ売りに言いました。

     

    「ナシを一つおくれ、金ならある」

     

    「金があるなら、問題ありませんよ、ハイ、毎度アリ」

     

    青年はナシ売りから渡されたナシをお爺さんの前に出しました。

     

    「お爺さん、食べて」

     

    お爺さんの目は差し出されたナシに、くぎ付けになりました。

     

    すると、ナシ売りが言いました。

     

    「お客さん、そう言うことされたら困るんですよね、そんな爺さんにやるのなら、私の見えないところでやってもらえますかね」

     

    青年は、そんなナシ売りの方には目もくれず、

     

    「お爺さん、向うに椅子があります。あそこへ行きましょう」

     

    と、お爺さんを引っ張って行きました。

     

    お爺さんを椅子に座らせ、青年はナシを差し出しました。

     

    「ハイ」

     

    お爺さんは、差し出されたナシに、またもや、くぎ付けになりましたが慌てて首を振り、

     

    「いっ、いやぁ悪い、若いの、あんたが買ったんだから、あんたが食べなよ」

     

    「大丈夫ですよ、ボクはのどが渇いている訳じゃないから、さっ、食べて」

     

    「そっ、そうですか、感謝いたします」

     

    お爺さんは差し出されたナシを両手で大切そうに受け取り、一口かじりました。

     

    「おいしい、おいしいよ」

     

    と言いながら、おじいさんはあっという間にナシを食べてしまいました。

     

    「ありがとう、ありがとう」

     

    と、おじいさんは感謝のおじぎを何度も何度もしました。

     

    「いいよ、お爺さん、ボクはナシをあげただけだよ、そんなに感謝されても困るよ」

     

    と青年は言ってから、

     

    「じゃ、ボクは行くから、元気でね」

     

    青年は片手を上げて立ち去ろうとしました。

     

    「待ってくれ、若いの」

     

    と、お爺さんは呼び止めて、

     

    「せめてお礼だけでもさせてくれ」

     

    「いいよ、いいよ」

     

    「いや、ダメだ」

     

    お爺さんは力強い口調で言いました。

     

    青年はその声に圧倒され、立ち止まりました。

     

    「いいかい、よーく見てるんだよ」

     

    お爺さんは先ほど食べたナシの芯の部分を、足元の土に埋め込みました。

     

    「こうやって、埋めてじゃなぁ、手の平をこうやって」

     

    と、空に向かって両手を広げました。

     

    「そして言うのじゃ、のびろ、とね」

     

    お爺さんは青年の顔を見て、

     

    「一緒にやってくれるかの」

     

    「ボクもですか」

     

    お爺さんは力強くうなずいたので、青年は仕方なく付き合うことにしました。

     

    青年はお爺さんと同じように両手の手の平を空に向けました。

     

    「よい、よい」

     

    お爺さんはうなずいてから、

     

    「それでは参るぞ、せ〜のぉ」

     

    『 のびろ!!! 』

     

    二人は声を合わせて叫びました。

     

    すると、地面がらちょこんと緑色の芽が出たと思ったら、シュルシュルシュル、と伸び始めました。

     

    すぐに茶色っぽくなり枝ができ、ポンポンポンとあっという間に白いつぼみがいっぱいできました。

     

    そして、下の方から、パッ、パッ、パッと、次々を白い花が咲いていきました。

     

    その頃になると、なんだなんだと人が集まって来ました。その中には先ほどのナシ売りも交じっていました。

     

    白い花はあっという間にちってしまい、あとに実がたくさん実りました。

     

    青年は、目の前で起きたことに、ただただ驚いて、両手を広げたまま、口をあんぐりと開けて突っ立っていました。

     

    そんな青年に向かってお爺さんは言いました。

     

    「ナシの実です。おいしいですから食べてみて下さい、さぁ、さぁ」

     

    お爺さんは一つもぎって青年に渡しました。

     

    ナシをもらった青年は、呆気に取られて心ここに有らず、という状態のまま、ナシを一口ほうばりました。

     

    すると、頭の中が一気に冴えわたりました。

     

    「ウマイ!!」

     

    青年は、二口三口とナシをがむしゃらにほうばりました。

     

    お爺さんは青年の姿を見て微笑んでから、集まった人たちの方を向きました。

     

    「お集りの皆さん、天下一おいしいナシです。早く食べないとあっという間に熟して、落ちてしまいますよ」

     

    と、声をかけました。

     

    集まった人たちはすぐにナシをもぎり、一口食べました。

     

    「ウマイ!」

     

    と言う声がアチコチから上がりました。

     

    そして中には、

     

    「さっき買ったナシ売りのよりも、断然、いや圧倒的においしい」

     

    と言う者までいました。

     

    ナシ売りは呆然とその光景を眺めていました。

     

    お爺さんは、ナシを一つもぎ取り、ナシ売りに渡しました。

     

    「ホレ、お主も食べてみろ」

     

    ナシ売りはナシを受け取り、しぶしぶ、食べてみました。

     

    一口食べた瞬間に、ナシ売りの目が変わりました。

     

    「ウマイ、ウマすぎる」

     

    と、ガブリつくように食べました。

     

    お爺さん青年のところに近づきました。

     

    「おいしかったですか」

     

    「ハイ、それはもう」

     

    「それはヨカッタ、その食べ残した芯の中にあるナシのタネ、今すぐ取りなさい。そして大切に持って帰って、庭に埋めるといいですよ」

     

    青年はすぐ言われたとおりにしました。

     

    タネをとり終え、お爺さんの方を見ると、立ち去ろうとしている後ろ姿が見えました。

     

    青年はお爺さんを追いかけようとしましたが、その途端、ナシの実が次々に地面に落ち、木は、ガリガリガリ、と音を立てて枯れてしまいました。

     

    青年は枯れていく木を眺めていました。ふと我に返り、辺りを見渡したときは、もうお爺さんの姿はありませんでした。

     

    「不思議なお爺さんだったなぁ」

     

    そして青年は、ナシのタネを懐に大切に入れ、故郷に帰りました。

     


    故郷に帰った青年は家族にこの街であったことを話し、早速、庭にタネをまきました。

     

    そして、家族総出で、両手を天に向けて「のびろ!」と叫んでみました。

     

    ところが、今度は芽が出ませんでした。

     

    何度やっても、芽は出てきませんでした。

     

    ガッカリした青年を家族は慰めてくれました。

     

    青年はあきらめず、毎日、その儀式を行いました。

     

    すると、何日か経ったとき、ちょこんと芽が顔を出しました。

     

    青年は飛び上って喜びました。

     

    そしてスクスクと成長し、何年か後には天下一のナシよりは若干味が劣るけど、甘くてとてもおいしいナシの実が毎年取れるようになりました。

     

    青年はそれを家族で食べ、余ったものはご近所に配り、さらに余ったものは街で売り、豊かに暮らしました。

     

    青年はたまにあの不思議なお爺さんを思い出し、

     

    「あれはきっと、神様が化けていたのだろう」

     

    と感謝するのでした。

     


    おしまい

     

     

    JUGEMテーマ:創作童話

    〜この物語について〜

     

    更新が日曜になってしまいました。

    お詫びいたしますm(_ _)m

     

     

    さてさて、気を取り直して(^^;;

     

    この物語のもとのお話はコチラです

     

    福娘童話集(ナシ売りと仙人)

    http://hukumusume.com/douwa/pc/world/11/21b.html

     

     

    今回は、チャンスは誰にも必ず訪れる、という物語になりました。

     

    お爺さんはナシを青年にだけではなく、集まった人たち、そして、ナシをくれなかったナシ売りにも渡しました。

     

    青年にだけはヒントを残して去って行きましたが、ナシをもらった時点では、全員にナシを売って豊かに暮らすチャンスが与えられました。

     

    ナシ売りも含めて、他のものたちがそのチャンスをものに出来たかは知りませんが、青年は素直に言うことに従いチャンスをものにしました。

     

    チャンスは誰にでも同じように目の前に現れるそうです。

    それをものにするには準備が必要です。

     

    ある意味、青年だけがヒント得られたのは、準備ができていたということでしょう。

     

    困った人を助けようという心と、半信半疑でも素直に従ってみるという性格などです。

     

    青年が正しいかどうかはここでは語りません。

     

    チャンスはチャンスとして分かりやすい形で目の前に現れることは少ないそうです。

    なので、何がチャンスになるか分かりません。

    逃さないように普段から準備を怠らないことが大切です。

     

    それには、世の中で「正しい」と言われている生活をすることも入っているような気がします。

    自分がイイと思うことを信じて進むことも、準備となることでしょう。

     

    大事なのは準備を続けること。

    だって、いつチャンスがくるか分からないのですからね。

     

    芽が出ないからと言って投げ出していたら、この物語の青年だって、ナシを売って豊かに暮らすチャンスを失っていたかもしれません。

     

    気を抜いたら、もったいないですよ。

     

     

    今日のHappy♪ポイント

    『 チャンスは忘れたころにやってくる。こっそりと 』

     

    | チャンスを逃してもHappy♪ | comments(0) | - |









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