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週2回(水・土辺りに)更新します

雪だるま
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    王様と望遠鏡(江戸小話より)

    むかし、むかし、ある国に王様がいました。

     

    一カ月前に王様になったとても若い王様でした。

     

    自分の国を立派にし、国民が豊かで健康に暮らせる国にしようと、志を高くもっていました。

     

    そんな新人王様の元へ商人がやって来ました。

     

    「今日は、望遠鏡をお持ちしました」

     

    「なんと!!!」

     

    望遠鏡と聞いて王様は大喜び。ずっと望遠鏡をのぞいてみたいと思っていたからです。

     

    「どれどれ、商人、望遠鏡はどこだ」

     

    王様は早く見せてくれと言わんばかりに、両手を商人の方へのばしました。

     

    「これにございます」

     

    商人は細長い形をした望遠鏡を差し出した。

     

    「おう、これが望遠鏡か」

     

    王様が望遠鏡を手にすると、王様の近くにいた家来が王様に声をかけました。

     

    「よかったですね王様」

     

    この家来は、とても頭がよく、王様がもっとも信頼(しんらい)する者でした。

     

    「おう」

     

    と、王様は満面な笑みをうかべ「使い方は知っとる、ここをのばしてのぞきこむんだな」

     

    大喜びで窓のそばまで走って望遠鏡で景色をながめました。

     

    お城は高い山の上に立っていて、一番高い場所に、王様の部屋はありました。

     

    ですから、窓からは国中がよく見わたせます。

     

    王様は、国民がどのように暮らしているか、幸せそうにしているかを望遠鏡を使って観察したいとずっと思っていました。

     

    「おお、見える見える、おっ、噴水(ふんすい)だ、水のひとつぶひとつぶが見えるぞ」

     

    願いがかなって、王様は大はしゃぎです。

     

    「手をのばせばさわれそうだ」

     

    王様は片方の手をのばして噴水をさわろうとしました。

     

    「よっ、ほっ、はっ」

     

    そんなかけ声を上げて、噴水をさわろうとしている王様に家来は、

     

    「王様、近く見えてもさわることができないのが望遠鏡でございます」

     

    「そうか、目の前にあるように見えて、実はすごく遠いんだったんだな」

     

    そう言って王様はちがう方向に望遠鏡を向けました。

     

    「おっ、今度は何やら人が集まっているな。台の上に人がいて、何か話していて、周りの人がその話を聞いておるぞ。あいつは、何を話しているのだろう」

     

    と、気になった王様は、のぞいていた望遠鏡を耳に当てました。

     

    それを見た家来は言いました。

     

    「王様、残念ながら望遠鏡を耳に当てても、遠くの音は聞こえません」

     

    「なんだ、そうかぁ、聞けたら便利なのに」

     

    王様は少しがっかりしました。でも、欲しかった望遠鏡を手にしてるので、すぐにきげんが良くなりました。

     

    そして今度は、国の入口にある広場の方へ望遠鏡を向けました。

     

    「あ、あれは姉上ではないか、旅から帰って来たのだな」

     

    王様は望遠鏡をのぞきながら、片方の手を大きく上げて、

     

    「おーい! あねうえー!! おかえりなさーぁい!!!!」

     

    と、大声でさけび手を大きくふりました。

     

    そんな王様を見て家来は言いました。

     

    「王様、あんなに遠くにいるかたには、王様の姿は見えませんし、声も届きませんよ」

     

    「そうかぁ〜」

     

    と、王様はかたを落として、

     

    「こんなに近くに見えるのに、あちらからは見えんのかぁ……」

     

    そう言ったあと、王様は静かに望遠鏡をのぞきました。

     

    望遠鏡を手にしたときのはしゃぎぶりとはうってかわり、無言のまま国中を見わたしました。

     

    しばらくして、王様は窓をはなれ、自分のイスに座りました。

     

    商人は、王様の前に片膝をつきました。

     

    「ありがとう、これは国を守るのに必要なものじゃ、できるだけ多くそろえてくれ」

     

    と言う王様に、商人は深々と頭を下げ去っていきました。

     

    商人が帰り、王様と家来の二人だけになりました。

     

    王様は静かな口調で、こう言いました。

     

    「わたしは、この城から望遠鏡で国民を観察し、生活を知ろうとした。しかし、望遠鏡では、国民にふれることも、声をきくこともできない。加えて……」

     

    王様はイスから立ち上がり窓に近づき外をながめました。

     

    「わたしがここからながめていても、国民にはわたしの姿が見えないのだな」

     

    家来は「ハイ」と答えました。

     

    王様は家来の方へ向き、

     

    「だからわたしは、望遠鏡で国民を観察することは止めにしたい」

     

    家来は静かに王様の話を聞いた。

     

    「わたしは直接、国民のそばに行って言葉を交わし、生活を知ろうと思う。その方が、ここから望遠鏡で国民を観察するよりも、理想の国を作るのに適していると思うが、お前はどう思うか?」

     

    家来は深々と頭を下げながら、

     

    「大変、素晴らしい考えかと存じます」

     

    「そうか」

     

    と、王様は満面の笑みをうかべました。

     

    「では、早速仕度をせい、これから街に降りて国民とふれ合う」

     

    「かしこまりました」

     

    その日から王様は、毎日街に出かけるようになりました。

     

    興味あるものにふれ、分からないことは気軽に国民に声をかけききました。

     

    王様に声をかけられ最初はとまどっていた国民たちも、何度か接しているうちに王様の人がらにひかれていきました。

     

    国民を観察することをやめ、ふれ合うことを選んだ王様は、国民からしたわれ、その国は、豊かで平和な国になったそうです。

     


    おしまい
     

     

    JUGEMテーマ:人間関係

    〜この物語について〜

     

    福娘童話集(遠めがね)

    http://hukumusume.com/douwa/pc/kobanashi/11/27.htm

     

     

    この物語の王様は、人とふれ合いながら国を治め成功しました。

     

    最初は望遠鏡を使って国民を観察しようとしました。

    しかし、それがうまくいきそうもないことに気付きました。

     

    そこで王様は考えを変えました。

    望遠鏡で観察することをやめて、国民に直接会いに行くことしたのです。

     

    王様は望遠鏡のいいところを認め、商人に大量に発注しています。

    その上で、想定していた使い道がまちがっていたことに気づくと、すぐに考え方を切りかえました。

    そして変わりのアイデアをだし、人に相談して実行しました。

     

    考えがにつまってしまったときは、本当にこの方法しかないのか疑ってみるとイイのかもしれません。

    1つのことにこだわり過ぎて、考えが広がらなくなっているだけかも知れないからです。

    別の方法を探りましょう。

     

    相談相手がいるのなら、意見を聞くことで、別の視点が見えてくるかもしれません。


    他の方法を探ってみて、何か出口が見つかりそうなら、思い切ってそちらに方向を変えてみる。

    につまった料理を捨てる、または、いったんたなにあげることで、別の方法を試すことができるようになり、今度はおいしい料理に仕上がるかもしれませんよ。

     

     

    今日のHappy♪ポイント

    『 1つの考えにこだわらない 』

    | 考えが煮詰まってもHappy♪ | comments(0) | - |









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