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週2回(水・土辺りに)更新します

雪だるま
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    富士山を守れ!(江戸小話より)

     昔々、なやみを相談すると、なんでも解決してしまう和尚(おしょう)さんがいました。

     

    「どうなされた」

     

     今日は、役人が和尚さんを訪ねて来ました。

     

    「はい、実は和尚様、困ったことを言う者がおりまして」

     

    「困ったこととはなんじゃ?」

     

    「はい、海の向こうの国のつかいが来まして、富士山の美しさにほれこみ、どうしても富士山が欲しい、と言うのです」

     

    「富士山が欲しいじゃと!」

     

     さすがの和尚さんもビックリして長いくて白いまゆを上げました。

     

    「そうなんです。富士山をくれなければ、戦争をしかけるぞ、と申すもので困っています」

     

     役人は頭をかきながら、

     

    「富士山は我が国の象徴(しょうちょう)でもありますし、そもそも、あげるもなにも富士山は動かせませんからねぇ……」

     

    「フム」

     

    と、和尚さんは声を出して、目を閉じました。

     

     しばらくちんもくしたあとで、和尚さんは目を見開いて言いました。

     

    「欲しいと言うなら、くれてやればよい」

     

     和尚さんの言葉におどろいた表情をする役人に構わず和尚さんは続けました。

     

    「そのかわり、富士山を持ち帰る箱を持って来い、そしたらくれてやる、と言えばよろしい」

     

    「おおぉ、そんな手が!」

     

     役人は手をたたいて納得し、和尚さんに礼を言って帰って行きました。

     

     ところが数日後、同じ役人がまた相談に来ました。

     

    「なんじゃ、うまくいかなかったのか?」

     

    「はい、おはずかしい話で」

     

     役人は頭をかきながら話しました。

     

    「先方に、和尚様に言われた通り申したところ、始めは『そんな箱など作れない』と困っていました」

     

    「フムフム」

     

     和尚さんは目を閉じてうなずきながら聞いていました。

     

    「しばらくすると、話し合いがもたれたのでしょう『ならば、富士山をそこに置いたままで、自分たちのものということにしろ』と言い出したのです。嫌なら戦争だと」

     

    「フムフム」

     

     和尚さんをうなずきました。

     

     そして、しばらく静かに考えてから、目を見開きこう言いました。

     

    「では、置いたままそいつらのものにしてやろう」

     

     おどろく役人に構わず、

     

    「ただし富士山という名前は変えられないから、そいつらの国の名前を富士山と変えたなら、富士山をそいつらのものと認めてやろう、と申せ」

     

    「おおぉ、その手がありましたか!」

     

     役人は、手をたたいて納得して、礼を言って帰って行きました。

     

     ところが数日後、

     

    「なんじゃ、またダメだったのか」

     

    「はい〜、めんもくありません……」

     

    「しつこい相手じゃのぉ」

     

    「はい、和尚様から言われた通り申したところ『国の名前を変えろと、それは困った』となりました」

     

    「フムフム」

     

    「その後、例のごとく話し合いがもたれたのでしょう『箱もできぬ、国名を変えることもできぬ、もはや戦争で力ずくでいただくことにする!』と言われました」

     

    「フムフム」

     

    「よっぽど、富士山が欲しいのでしょう……、とは言え、まさか、戦争をするわけにはいきませんので、なんとか収めたいところです」

     

     和尚さんはうでくみをして「困ったもんじゃのぉ」と呟きました。

     

     今回は和尚さんも頭をなやませました。

     

     和尚さんは目を閉じて、しばらく考えました。

     

     役人を何もしゃべらず、じっと待ちました。

     

     しばらくの時が流れました。

     

     お寺の庭に、スズメがやって来て、チュンチュン、とはねて、エサはないかと地面をつついていました。

     

     和尚さんの目が“パッ”と見開きました。

     

     スズメは、いきおいよく飛びたちました。

     

     和尚さんは言いました。

     

    「よし、では戦争をしようではないか」

     

     役人はビックリして、少しよろめきました。

     

     和尚さんは続けて言いました。

     

    「受けて立つと言え、そのかわり、わがじん営は富士山に陣(じん)を構える、おまえらが欲しい富士山が戦場になって、美しい景観があれ果ててもいいのならせめてこい、と申せ」

     

    「おおぉ、それはイイ手ですね」

     

    「しかし、これがダメなら、もうお手上げじゃな」

     

     と、和尚さんがめずらしく弱音をはきました。

     

     役人は胸を張って、

     

    「それでダメなら、わがじん営は力の限り戦って、富士山にキズひとつ負わせず、守り切ってみせます!」

     

    「それは、たのもしいのぉ」

     

     和尚さんは笑顔で言いました。

     

    「ハイ、そのくらいの意気ごみで交渉してきます!」

     

     役人は力こぶしを和尚さんに見せ、帰って行きました。

     

     その後、役人は現れませんでした。

     

     そして、富士山で戦争が起こった、という報せもこず、和尚さんは寺の庭で、スズメが、チュンチュン、とエサを探しているのをぼんやりながめて、平和に過ごしました。

     

     

    おしまい。

     

     

    JUGEMテーマ:創作童話

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