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週2回(水・土辺りに)更新します

雪だるま
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    借金取りがやってきた(江戸小話より)

    むかし、むかしの話です。

     

    ある長屋に、青年が住んでいました。

     

    青年は、気立てが良く、めったに怒らない性格で人を疑うことも知りません。

     

    それだけに、だまされて、自分が借りたわけでもない借金を、かたがわりしてしまうことが多くありました。

     

    そして今日も、借金取りがやって来ました。

     

    「今日こそは、ちゃんとはらってもらうよ」

     

    借金取りは青年に強い口調で言いました。

     

    青年は、何度も言葉をはぐらかして、借金取りにお金を返さずにいたので、借金取りはとても怒っていました。

     

    強い口調の借金取りに、ゆかに腰をおろした青年は、ビクともせずに冷静に対応しました。

     

    「もうちょっと待ってもらえますか、実は、近々、お金が手に入るあてが、三つもあるものですから」

     

    「なに、お金が入るあてだと? しかも三つも?」

     

    「はい!」

     

    すずしい表情で返事をする青年を見て、借金取りはおどろきました。

     

    いつもお金がない青年に、お金が入るあてがあるハズがないと思ったからです。

     

    しかも、三つなんてあるハズがない。

     

    「その三つの“あて”とやらを聞かせてもらいましょう」

     

    借金取りは、半身でゆかに腰かけ、聞く体制になりました。

     

    「イイですよ、まず一つ目は」

     

    青年は人差し指をピンとのばして言いました。

     

    「私が、どこかで大金をひろうかもしれません」

     

    「なんだと!」

     

    借金取りは声を上げました。

     

    「バカ野郎、そんなのは“あて”とは言わん! 二つ目はなんだ!」

     

    「はい、二つ目は、お金持ちが私に大金をわたしてくれるかもしれません」

     

    「なっ、このご時世、そんなやつが都合よくいるわけないだろう、どこまでのーてんきなやろうだい、まったく」

     

    借金とりはあきれた口調で、

     

    「で、三つめはなんだ、またどうせ起こりそうもない、もうそうの話なんだろうがな」

     

    「いいえ、三つめが、一番可能性が高いと思っているのです」

     

    青年は、自信ありげにそう言いました。

     

    「お、そりゃぁいいことじゃねぇか、その自信あるっていう、三つめを聞かせてもうらおうじゃないか」

     

    「はい」

     

    と言ってから青年は借金取りに顔を近づけて、「それはですね」

     

    「それは、」

     

    「あなたが」

     

    「オレが?」

     

    「ポックリと死んでしまうかもしれません」

     

    「─────。」

     

    借金取りは、いっしゅん、だまってしましました。

     

    「───オレが、死ぬ? ポックリと?」

     

    「はい!」

     

    笑顔で返事をする青年に、あきれ返って借金取りは勢いよく立ち上がり、大声で言いました。

     

    「まったく! なんてやろうだ! このオレが、ポックリと死ぬだと! 聞いて損した。残念ながらオレはこのとおりピンピンしてりゃ! お前のあてはぜんぶ大外れだ、さぁ、すぐに借金かえしやがれ!!」

     

    ゆかに土足の足をかけ、感情が高ぶって、今にも暴れそうな借金取りに、「まぁ、まぁ」と青年は落ち着いた口調でたしなめてから、言いました。

     

    「そう怒らずに、じょうだんです、ほんのじょうだん」

     

    と、青年は自分の後ろから、ふろしき包みを取り出しました。

     

    「お金なら、このとおりあります。ちゃんと利子もつけています。確かめてください」

     

    借金取りは、目を丸くして、キョトンとした表情でふろしき包みを受け取り、あわてて開いてなかを確認しました。

     

    そこには、貸したお金よりも、かなり多くの現金がありました。

     

    借金取りはキョトンとした表情のままで、「こりゃあ一体、どうしたんだい」とたずねました。

     

    青年は、すずしい表情で言いました。

     

    「はい、実は、だいぶ前、道を歩いている時に、お金を拾い、奉行所(ぶぎょうしょ)に届けていたのですが、持ち主が現れないと、おとつい返って来ました。それがそのお金の半分です」

     

    青年はふろしき包みのお金を指さしました。

     

    借金取りは、だまって青年の話を聞きました。

     

    「それと、ちょうど昨晩、居酒屋でとなりに座った人と話をしていたら、たいそう私のことを気にいってくださって、好きなことでもしろ、と大金をくれたのです。それを合わせたのがそのお金です」

     

    驚いた借金取りの口は、あんぐりをと開きっぱなしになってしまいました。

     

    「そんなことって……、あるもんなんだなぁ……」

     

    借金取りは、ひとり言のようにつぶやきました。

     

    「はい、あったんです」

     

    と、青年は穏やかな口調で言いました。

     

    少し時が経ち、やっと我に返った借金取りは、ふろしきを大事そうに包み直し、持っていたふくろに入れました。

     

    「確かに、金は返してもらった。もう、会うこともないだろうよ、じゃなぁ、達者でな」

     

    と、借金取りは帰ろう背をむけました。

     

    青年は借金取りの背中に向けて、大きな声で言いました。

     

    「あなたも、くれぐれも気を付けて、なんたって“あて”は二つ当たりましたから!」

     

    帰ろうとしていた借金取りは、ビックと、かたを上げました。

     

    「あてが二つ、当たった?」

     

    借金取りは、ふり返り、青年の顔を見ました。

     

    「三つめは確か……」

     

    青年は、さわやかな笑顔で借金取りを見つめました。

     

    借金取りは何も言わず、周りをキョロキョロしながら、落ち着かない足取りで帰って行きました。

     

    青年は長屋の外に出て、手をふりながら言いました。

     

    「お気を付けて〜」

     

     

    おしまい。

     

     

    JUGEMテーマ:コミュニケーション

     

    〜この物語について〜

     

    【もとのお話】福娘童話集(三つのあて)

    http://hukumusume.com/douwa/pc/kobanashi/12/10.htm

     

     

    人に、嫌なことされたり、誤解されたり、

    人生辛いことも多いです。

     

    でも、この物語の主人公のように、

    ユーモアを持って生きていると、とても楽しそうな気がします。

     

    笑いは、気持ちを軽くしてくれます。

    リラックスもできますし気分転換にもなります。

     

    お笑い番組などを見て笑い飛ばすのもありですが、

    自分から、笑いを作った方が、より効果的かもしれません。

     

    辛いとき、悲しいとき、そんなときこそ、

     

    「この状況、どうやったら笑いに変えられるだろう」

     

    と、無理やりにでも考えてみるとイイかもしれませんね。

     

     

    今日のHappy♪ポイント

    『 辛いことを、笑い話に変えてみる 』

     

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