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童話でHappy♪

ハッピーエンドの童話たちが あなたの気分をHappy♪にしちゃいます
週2回(水・土辺りに)更新します

雪だるま
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    氷の食べ方(江戸小話より)

    昔々の話です。

    段々、明るい時間が短くなり、

    薄着だと肌寒く感じる冬の始まりの頃。

     

    寝ていた男の子は、まだ薄暗い時間に

    寒さで目を覚ましてしまいました。

     

    全然眠くなかった男の子は、寒いなぁ、

    と思いながらも布団から起き上り、
    厚着をしてから家の戸をあけました。

     

    吐く息は白く、肌には冷たくて固い空気が当たりました。

     

    「寒っ」

     

    男の子は身を縮めながら、辺りを見渡しました。

     

    いつも見慣れた景色が、なんだか寒さで縮こまっているような
    感じがしました。

     

    ふと、近くの池が一面真っ白におおわれているのが

    目に入りました。

     

    なんだろう?

     

    この池がこんな色に見えたことがなかったので、
    男の子は疑問に思い、家を出て池に近づいていきました。

     

    そばまで行くと、池は一面、真っ白に覆われていました。

     

    男の子はそっとしゃがんで、白くなった池を触ってみました。

     

    「うぁーっ、冷たい!」

     

    そう言ってすぐに手を引っ込めましたが、

    もう一度触ってみると、池が冷たくて

    固くなっているのが分かりました。

     

    男の子は、なん回か池を叩いてみました。

     

    “コンコン”

     

    すると、池は割れて、下から水が出てきました。

     

    男の子はおそるおそる割れたカケラをとり、
    急いで家に持って帰りました。

     

    家に帰ると、父が寒そうに身を縮めながら、
    ヤカンの下がった囲炉裏に、薪をくめ火をつけていました。

     

    「父ちゃん! 池が、こんなになってたよ」

     

    男の子は、自分の顔よりも大きなカケラを両手で持ち上げて
    父に報告しました。

     

    「おぉ、それは氷だなぁ、どおりで寒いはずだ」

     

    「氷、これが氷かぁ、父ちゃん、オレ、氷、初めて見たよ」

     

    「おう、そうだったな、前に住んでいたところは、
     一年中暖かくて、氷はらなかったもんなぁ」

     

    この家族は、今年の夏に、母親の地元であるこの地に、

    訳あって移り住んで来たのでした。

     

    冷蔵庫の無い時代、氷を見ないでいることは、
    珍しいことではありませんでした。

     

    「そうだ息子よ、初氷は薬になるというから一口食べてみろ」

     

    「うん」

     

    息子は元気よく返事をすると、氷にかみつきました。

     

    “ガリッ”

     

    「父ちゃ〜ん、固くて噛みきれないよ」

     

    息子は何度かかじりましたが、厚い氷はびくともしません。

     

    「どれ、貸してみろ」

     

    父は手を伸ばし、息子から氷をもらいました。

     

    「いいかよく見てろよ、こうやって」

     

    “ガリッ”

     

    と、父は息子にカッコイイところを見せようと

    勢いよくかじりました。

     

    しかし、何度かじっても、氷はビクともしません。

     

    父は、氷をかじりながら、

     

    (こんなに固いのか、しかも冷たい)

     

    と思っていました。

     

    実は、父も氷を触るのが初めてだったのです。

     

    「父ちゃんでもダメかぁ〜」

     

    と、息子はガッカリしました。

     

    「どれ、こういうときはだな」

     

    父は、またカッコイイところを見せようと、

     

    「火であぶれば柔らかくなるもんだ」

     

    と、薪の火に氷を近づけました。

     

    息子は、どうなるんだろう、

    と目を輝かせて氷を見ていました。

     

    “ジュッ”

     

    火に当てられた氷は激しい音を立てると、

    勢いよく湯気を上げ、水がダラダラと流れてきました。

     

    「父ちゃん、大丈夫?」

     

    息子が心配そうに言うと、父は何食わぬ顔で、

     

    「よし、だいぶ柔らかくなったかな」

     

    と、湯気が立ち上っている氷にかみつきました。

     

    “ガリッ”

     

    「アヂッ」

     

    氷はちょっと熱くなっただけで、

    かじってもビクともしませんでした。

     

    「父ちゃん大丈夫」

     

    「大丈夫だ」

     

    「やっぱり、かじれないね」

     

    息子が言うと、父は今度、

     

    「そんな時はなぁ、煮込めばいいんだ」

     

    と、お湯が湧きだしたヤカンの蓋を外して、

    中に入れました。

     

    「見てろー」

     

    “ジューッ”

     

    という音とともに、ヤカンから勢いよく

    湯気があがりました。

     

    息子は恐る恐るヤカンの中を覗いてみました。

     

    「父ちゃん、氷、どこ?」

     

    「ん、見えんか? 確かに入れたぞ」

     

    「うん、どこにも見えない」

     

    父もヤカンの中を覗きましたが、

    なにも見えませんでした。

     

    「あれ?」

     

    「あれ〜」

     

    父は、サジを持ってヤカンの中をかき混ぜましたが、
    なんの手ごたえもありませんでした。

     

    父と息子は、不思議そうにヤカンの中を眺めました。

     

    そこへ、母が起きて来ました。

     

    「こんなに朝早くに、二人とも、

     ヤカンを眺めてなにやってるんだい?」

     

    母は不思議そうにたずねました。

     

    息子はことの成り行きを話しました。

     

    息子が話している間、

    父は面目無さそうな顔をしていました。

     

    母は話を聞いて少し笑ってから、

     

    「そうかい、それならもう一度、氷を取っておいで」

     

    息子は勢いよく外に出ていきました。

     

    息子がいなくなると、母は父に耳打ちしました。

     

    しばらくして、息子は氷を持って帰って来ました。

     

    「どれどれ」

     

    と、父は息子から氷を取ると、

     

    「いいか、見てろよ」

     

    と、母から耳打ちされた通り、包丁を手に取って、
    氷を薄く削り、用意していた茶碗の中に入れました。

     

    “ザッ、ザッ、ザッ”

     

    「うわぁ、氷が細かくなったぁ」

     

    息子は目を丸くして、細かい氷が
    茶碗の中にたまっていくのを見つめました。

     

    やがて、茶碗に細かい氷がいっぱいになると、

     

    「ほら、食べてみろ」

     

    と、父は茶碗とサジを息子に渡しました。

     

    息子は、なれない手つきで細かい氷をすくい、

    口の中に入れました。

     

    すると、息子は目をとじ、口を尖らし、

    みるみるうちに顔のものが全部まん中に集まったような

    表情になりました。

     

    「つめたーい!!!」

     

    そう叫んだあと、息子は、

     

    「でも、シャキシャキしてておいしい!」

     

    と、ニコニコ笑顔で言いました。

     

    母は別の器を持って来て、

     

    「ほら、この “あんこ” をかけると、

     さらにおいしいよ」

     

    と、息子の氷の上にかけてあげました。

     

    息子は、すぐにあんこと氷をすくうと

    口の中に入れました。

     

    「うわぁ〜、甘くておいしい」

     

    息子は今にも崩れそうな表情でそう言いました。

     

    「どれ、どれ、わしらも食べよう」

     

    と、父は自分も食べたくてしょうがなくなり、

    母に言いました。

     

    「はいはい」

     

    と母は言って茶碗を用意し、家族三人、

    囲炉裏の火を囲んで、仲良く初氷を食べました。

     

    「おいしーい」

     

    三人とも、目をとじ、口を尖らし、顔のものが

    全部まん中に集まった表情になっていました。
     

     

    おしまい

     

     

    JUGEMテーマ:創作童話

    もとのお話はコチラ

    福娘童話集(焼き氷)
    http://hukumusume.com/douwa/pc/kobanashi/01/12.htm


    知ったかぶり、って、しちゃうときありますよね。
    うまくいくこともありますが、バレることも多い。

     

    今回のお話のお父さんも、知ったかぶりして、
    失敗を繰り返しちゃっています。

     

    「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」

     

    なんてことわざもある通り、見栄をはらないで、

    知らないことは、知らない、って言った方が

    本当は楽なんですよね。

     

    でも、ついつい知ったかぶりをしてしまう。

     

    言わなきゃよかった、と後悔しないように、

    あ、今、自分、知ったかぶりした!

    なんて思ったら、すぐに訂正できる便利が言葉があります。

     

    「知らんけど!」

     

    コレ、大阪のおばちゃんがよく使う言葉らしいんです。

     

    「あの夫婦、最近、うまくいってないらしいよ」

     

    「え、ウソ、ホンマ!」

     

    「知らんけど〜」

     

    「知らんのか〜い」

     

    と、会話が進むそうです。

     

    実際はお笑い芸人さんのネタなのかもしれませんが、
    魔法のような言葉だと思います。

     

    意地をはって知ったかぶりをするよりも、

    「知らんけど」と言って、笑いに変えられるといいですね。


    今日のHappy♪ポイント

    「知ったかぶりしちゃったときは「知らんけど」って言ってみよう」


    ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/

     

     

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