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童話でHappy♪

ハッピーエンドの童話たちが あなたの気分をHappy♪にしちゃいます
週2回(水・土辺りに)更新します

雪だるま
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    ライオンとヒツジ飼い(イソップ物語より)

    とある国に心優しい羊飼いがいました。

     

    良く働き、親も大切にし、近所の人とも気さくに話すとても気立てのいい青年でした。

     

    そんな羊飼いを良く思わない嫉妬深い者により、全く身に覚えのない罪にを被せられ、罪人として捕まってしまいました。

     

    そして裁判の結果、死刑の判決を受けました。


    この国の死刑は、密室で、身動きがとれない状態でいるところに、空腹のライオンを放つという野蛮なものでした。

     

    羊飼いは無罪を訴えますが、裁判官は聞き入れてはくれません。


    羊飼いの両親や友だち、何人もの知人も、彼はイイやつだから、どうか助けてやってくれ! 

     

    と訴えますが、それでも受け入れられず、刑は執行されることになりました。

     

    体を縛られ密室に閉じ込められた羊飼いは、なおも無罪を訴えました。


    壁の向う側にいる裁判官は、全く聞き耳を持たず、近くの役人に目配りをして、ライオンの入れてある檻の扉を開けさせました。

     

    両親や友人たちも見守る前で、

     

    “ガッタン”

     

    罪人の血で染まったような薄黒い色の扉が不気味な音をたてて開きました。

     

    少しの間が空いたあと、檻の中からライオンが、のっそ、のっそと出てきました。


    ライオンはこの刑の為に、三日間、水だけしか与えられず、狭い檻の中に閉じ込められていました。


    機嫌が悪く、生気を失った目は、ただ獲物を逃さないとばかりに鈍く光り、赤くて細い血管が白目を被っていました。

     

    “ガルルルルル〜”

     

    羊飼いは、殺される! と思いギュッと目を閉じました。

     

    “ガルルルルル〜”

     

    うなり声と共に、荒い息遣いも聞えてきます。

     

    羊飼いは、死の恐怖におののきました。

     

    鼓動も呼吸も早くなり、頭が恐怖で爆発しそうになりました。

     

    ───そんな時、

     

    羊飼いは、なぜか遠い記憶を思い出しました。

     

    それは、とても懐かしい、何年も前の記憶です───

     

     

     

    羊飼いはその日、不思議な体験をしました。

     

    「さぁ〜て、今日の放牧も終わったし、一休みするか!」

     

    一面、緑に覆われた牧場で、仕事の疲れを癒すように背伸びをすると、良く晴れた青空に、ところどころに浮かぶ白い雲が、のんびりと流れていくのが見えました。

     

    “ワンワンワン”

     

    羊飼いが飼っている牧羊犬が激しく吠えました。

     

    羊を追い込むとき以外、大人しい犬が必死に吠えているので、羊飼いは驚きました。

     

    「どうした?」

     

    羊飼いは犬に近づき、地面に膝をつき、頭を撫でてやりました。


    その時、犬が小刻みに震えているのが分かりました。

     

    「どうした、何をそんなに怖がっているんだい」

     

    犬は羊飼いの後ろの方を気にしているようで、羊飼いの顔と後ろを交互に落ち着きなく見て、何かを訴えているようでした。

     

    羊飼いは気になって、自分の後ろを眺めました。

     

    少し行ったところに白い柵があり、その向う側には緑の草原が広がっていました。


    草原の奥の方に、何やら、動くものが目に入りました。

     

    「なんだ、あれは?」

     

    羊飼いは、大丈夫だ、と犬の頭を撫でてから柵の方へ歩いて行きました。

     

    遠くに見えた動くものは、茶色い動物のようでいた。


    しかもかなり大型です。

     

    「ライオンか?」

     

    羊飼いの鼓動は少し早くなりました。


    咄嗟に、腰に差しているナイフに手を当てました。

     

    近くにライオンがいることは知っていました。


    ライオンは滅多なことが無い限り人間の側には近寄って来ません。

     

    羊の放牧の時は安全と言われている方向に進み、念のためにライフル銃を持って出かけていました。


    しかし、一度もライオンに会ったことはありませんでした。

     

    羊飼いにとってもライオンを見るのは初めての経験だったのです。

     

    ライオンは草原を歩きながら羊飼いの方へやって来ます。


    しかし、なにかヨロヨロとした足取りで、猛獣の雰囲気が全く感じられませんでした。

     

    何か変だなぁ、と、羊飼いは胸のざわめきを感じながら見つめていました。

     

    ライオンがヨロヨロとした足取りで柵の側まで来ました。

     

    羊飼いは柵ごしにライオンの顔を見ました。

     

    ライオンの目はとても澄んでいて、ときどき頭を下げ、何かを困っているような仕草をしていました。

     

    “ワンワンワン”

     

    ライオンを見た犬が吠えました。


    羊飼いは犬の方を向き、“シーッ”と人差し指を立てて大人しくさせました。


    そして柵を飛び越え、ライオンの近くに行きました。

     

    少し、ドキドキしましたが、近づいて行ってもライオンはとても大人しくしていました。


    羊飼いは、そっと手を伸ばし、羊の体を調べるときのようにライオンに触れました。


    体をさわられてもライオンは大人しくしています。

     

    羊飼いは足を調べてみました。


    すると、前足に大きなトゲが刺さっているのを見つけました。

     

    「これじゃ、痛くてヨロヨロとしか歩けないな」

     

    と、羊飼いは言いながら、ライオンの足を自分の膝に乗せ、腰に差していたナイフを手に取り、大きなトゲを取ってあげました。

     

    「痛かったろう……、さっ、これでもう大丈夫だ」

     

    羊飼いは優しくライオンの足を戻してやりました。

     

    ライオンは前足を何度か足踏みしました。

     

    そして羊飼いを見つめました。

     

    その目はとても澄んでいて、感謝しているように羊飼いは感じました。

     

    ライオンはサッ、と向きを変えると、草原の方へ軽快に走り、あっという間に姿が見えなくなりました───。

     

     

     

    ───遠い昔の不思議な経験を思い出していた羊飼いは、恐怖がだんだん小さくなって行くのを感じました。

     

    ギュッと、固く閉じていた目をゆっくりと開け、目の前にいるライオンを見つめました。

     

    “ガルルルルル〜”

     

    お腹を空かせて、目は血走り荒々しくうなり声を上げています。


    羊飼いは、このライオンに食べられるのだな、と思いながらも、なぜか落ち着いた気分で見つめました。

     

    そして、うなり声を上げているライオンに語り掛けました。

     

    「お腹が空いているのだろう……、さぁ、お食べ……」

     

    語りかけたその声は、とても優しく透きとおった声でした。

     

    すると、うなり声を上げていたライオンの態度が変化していきました。

     

    うなり声は納まり、血走っていた目も段々穏やかになっていくようでした。

     

    やがて、ライオンは落ち着いた足取りで羊飼いに近づいてきました。

     

    すぐ側まで来ると、澄んだ目で羊飼いを見つめました。

     

    そしてライオンは、そっと、羊飼いの膝の上に前足を乗せました。

     

    その時、羊飼いにも分かりました。

     

    「やぁ、元気だったかい」

     

    そう語り掛け、ライオンに微笑みました。

     

    “グルグル、グルグル”


    ライオンは喉を鳴らしながら、羊飼いの足に頭をスリスリとなすりつけました。

     

    「おい、おい、くすぐったいよ」

     

    羊飼いは笑いました。

     

    ライオンは何度も何度も足に頭をスリスリとなすりつけたあと、羊飼いに寄り添い、大人しく座り込んでしまいました。

     

    予想外の展開に裁判官はあっけに取られていました。

     

    羊飼いの両親や友人が口々に、裁判官に言いました。

     

    「ほら、猛獣だって、彼がイイやつなことは分かっている!」


    「お願い、許してあげて!」

     

    裁判官はその声を聴いて、静かに目を瞑り、少し間を置い言いました。

     

    「刑は執行された」

     

    裁判官は役人に目配りをし、その場を去っていきました。

     

    二人の役人が、寝そべっているライオンにビクビクしながら、羊飼いを縛っている紐を解いてやりました。

     

    羊飼いは自由になった両手で、ライオンを抱きしめて、

     

    「元気で生きててくれてよかった」

     

    と泣きながら言いました。

     

    ライオンも、羊飼いの頬に、何度も何度も頭をスリスリなすりつけました。

     

    “グルグル〜、グルグル〜”

     

    密室を出た羊飼いは、両親や友人の元へ帰り、ライオンは草原の方へ軽快に走り、一度だけ振り向いてから、あっという間に姿が見えなくなりました。

     

     

    おしまい

     

     

    JUGEMテーマ:創作童話

    〜この物語について〜

     

     

    お互い、心の扉を開いたときに、初めて信じあえる関係になれるんだと思います。

     

    閉ざしていては、信じあえる風も通りません。

     

    この物語の羊飼いとライオンはどちらが先に心の扉を開いたのでしょう。

     

    すがる思いのライオン。

    襲われる危険を感じる羊飼い。

     

    羊飼いはライオンが心を開いていることを感じ、自らも警戒心を解くことができました。

     

    そしてお互い、心の扉が開き、信じあえる風が流れ込みました。

     

    あなたのことを信じてくれる人はいませんか?

     

    もしいたら、その人に対しては、あなたの心の扉は開いているのではないですか?

     

    信じられない、と、思った相手には、あなたの心の扉は閉ざされているのかもしれません。

     

    関わらなくても済む相手なら、それでも問題ないでしょう。

     

    もし、信じられない相手(もしくは環境)が、どうしても関わらなくてはならない相手なら、ちょっとだけ、あなたの方から心の扉を開けて、信じあえる風を通してみてはいかがでしょう?

     

    難しいから、最初は、試しに、ちょっとだけ!

     

     

    あなたの意見をお聞かせくださ〜い(^-^)


    今日のHappyポイント♪

    『恥ずかしいケド、自分をさらけ出しちゃえ!』

     

     

    | 誰も信じられなくてもHappy♪ | comments(0) | - |









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