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週2回(水・土辺りに)更新します

雪だるま
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    お侍さんを黙らす方法(江戸小話より)

    むかしむかし、表町の隠居(いんきょ)と横町の隠居がいました。

     

    二人は、自分たちの店を息子に任せ、

    朝から、表町の隠居の家の前で長椅子に座り、

    大好きな将棋をさしていました。

     

    すると、どこからともなく、お侍さんがやってきて、

    不意に地面にしゃがみこんで、二人の対局をのぞきこみました。

     

    お侍さんは、しばらくは黙って見ていましたが、

    やがて隠居たちが一手さすたびに、

     

    「あ〜ぁ、その手は、ダメだろう!」

     

    「いやっ、そこは銀を動かさなきゃ!」

     

    「お、それはいい手だ、それでは、飛車を動かすしかねぇな」

     

    と、やかましく口を出してきました。

     

    隠居たちは、しばらくはがまんしていたのですが、

    気の短い表町の隠居が耐えられなくなり、

     

    「コレ、少しは黙っておれ!」

     

    と、お侍さんの頭をもっていた扇子(せんす)でポンと叩きました。

     

    お侍さんは、びっくりしたように目をまん丸に開けて、

    叩かれたところを手で抑えました。

     

    そして、なにも言わず、その場から立ち去りました。

     

    「これで集中して将棋ができる」

     

    と、表町の隠居は言いましたが、人の良い横町の隠居は、

     

    「将棋は静かでやりやすくなったが、

     お侍さんの頭を叩いたのは、まずかったんじゃねぇか?」

     

    「あ、そうか、相手はお侍だったか、カッとなって、

     つい手を出しちまった」

     

    この時代、お侍さんは、隠居たちのような商人よりも身分が上で、

    怒らせると、命をうばわれるかもしれないほど、こわい存在でした。

     

    「あやまった方がいいかなぁ」

     

    「そうだな、すぐにあやまったほうがいい」

     

    「よし、あ、でも、あの人の住まいはどこかのぉ」

     

    「あ、それはわしも知らんわい」

     

    と、隠居たちがのんきに話していると、

    先ほどのお侍さんが帰って来ました。

     

    地面に、どかっ! と腰を下したお侍さんの姿を見て、

    隠居たちは目を丸くしました。

     

    お侍さんは、頭に兜(かぶと)をかぶって来たのです。

     

    表町の隠居は、お侍さんをしばらく見てから、

    横町の隠居のほうを見ました。

     

    横町の隠居も驚いた表情をしていましたが、

    アゴを前にだして、ホレ、とあやまるように指図しました。

     

    表町の隠居は、

     

    「先ほどは、つい、カッとなり、

     手を出してしまい申し訳ございませんでした」

     

    と、丁寧に言って、頭を下げました。

     

    すると、お侍さんは大声で笑い、

     

    「気にするな、こうして叩かれてもいいように、

     兜をかぶってきた、ほれ、将棋を始めろ」

     

    と、手をパンパンならしました。

     

    隠居たちは不思議そうな表情で目を合わせましたが、

    気を取り直して、将棋をさし始めました。

     

    すると、お侍さんは、

     

    「そこは桂馬での方がよかった」

     

    「いわんこっちゃない、最初に取っておけばよかったんだ」

     

    「なんでその手をさすかなぁ、

     金を下げれば逃げられてしまうじゃないか」

     

    と、また口を出して来ました。

     

    隠居たちは、相手はお侍さんだからとがまんしていましたが、

    気の短い表町の隠居は、扇子を手にすると、

     

    「黙っておれと言うとるに!」

     

    と、無防備なお侍さんのお腹を突っつきました。

     

    びっくりしたお侍さんは、突かれたお腹に手を当てて、

     

    「くそー、今度は腹かーぁ」

     

    と言いながら、その場を離れて行きました。

     

    お侍さんがいなくなると、横町の隠居が慌てて言いました。

     

    「ほら、短気を起こしちゃいけねぇよ、相手はお侍さんだってのに」

     

    「分かってんだ、分かってんだけど、つい……」

     

    と、隠居たちが話していると、お侍さんがまたやって来ました。

     

    ドサッ、と地面に座るお侍さんを見て、隠居たちはビックリしました。

     

    今度は全身、鎧(よろい)を着ているではないですか。

     

    お侍さんは機嫌のイイ口調で、

     

    「将棋も戦(いくさ)じゃからなぁ、

     見る側もそれなりの格好で見ないとな」

     

    と、兜を叩き、鎧のお腹の辺りを触りました。

     

    「さぁさぁ、始めなされ」

     

    お侍さんは大声で言いました。

     

    隠居たちは、やれやれ、という表情で将棋をさし始めました。

     

    「ほら、下手くそ、そんな手があるか」

     

    「うわぁ、そんな手を打つならやめちまえ」

     

    「ダメだ、話にならん、下手な手だ」

     

    と、お侍さんは言いたい放題、口を挟んできました。

     

    しばらく耐えていた表町の隠居でしたが、

    カッ、となって、扇子を手にしました。

     

    それを見て、横町の隠居が手を伸ばし、扇子を抑え、

    やめとけ、と言わんばかりに首を横に振りました。

     

    「どうした、対局が進まねぇなぁ、早よさせ」

     

    と、なかなか隠居たちが次の手をささないので、

    お侍さんはしびれを切らしてそう言いました。

     

    そして、ニヤっと不敵な笑いを浮かべながら、

     

    「それともなにか、また扇子で叩くのか? それとも突くのか?

     やれるもんならやってみろ」

     

    と、兜と鎧をこすりながら高笑いをしました。

     

    その言葉で、カチン、ときた表町の長老は、扇子を振りかざしました。

     

    しかし、完全武装のお侍さんのどこにも叩く場所がありません。

     

    「どうした、叩かんのかぁ」

     

    とお侍さんは、表町の隠居をバカにするように言いました。

     

    扇子を振り上げたまま手出しできないで震えている表町の隠居に、

    お侍さんは、勝ち誇ったような顔を向けていました。

     

    その時、横町の隠居は立ち上がりました。

     

    そして、素早い動きで、お侍さんの、わきの下に両手を入れました。

     

    そこには鎧がありませんでした。

     

    呆気に取られているお侍さんに、横町の隠居は、

     

    「お侍さん、うるさくすると、こうですよ!」

     

    と、言って、

     

    「コチョコチョコチョ」

     

    と、お侍さんのわきの下をくすぐり始めました。

     

    「こ、ハハハ、これ、ハハハ、な、ハハハなにをする」

     

    お侍さんは文句を言いながら、

    くすぐったくて笑いが止まりませんでした。

     

    横町の隠居は、さらにくすぐり続けました。

     

    「ハハハ、これ、ハハハ、やめないか」

     

    お侍さんは、体をクネクネさせて、笑い続けました。

     

    横町の隠居は手を休ませません。

     

    「ハハハハハハ、くるし〜、ハハハハハハハハ、」

     

    お侍さんは笑いが止まりません。

     

    そして、さんざん笑い転げたあと、

     

    「分かった、分かった、降参じゃ、わしの負けじゃ」

     

    と、涙を流しながら言いました。

     

    横町の隠居は手をわきの下から離しました。

     

    「ふーっ」

     

    と、お侍さんは息をついて、

     

    「悪かった、もう口出しはせん、おとなしく観戦しよう」

     

    と言って、座り直しました。

     

    やがて、隠居たちは将棋をさし始めました。

     

    それを、お侍さんは鎧を着たまま静かに眺めていました。

     

    通りを歩く人たちは、その光景を横目で見て、

     

    なにごとか? 

     

    と、首をかしげていきましたとさ。

     

     

    おしまい。

     

     

    JUGEMテーマ:創作童話

    〜この物語について〜

     

    もとのお話はコチラ

    福娘童話集(叩かれても安心)

    http://hukumusume.com/douwa/pc/kobanashi/01/25.htm

     

     

    嫌なことをされると、つい怒っちゃいますよね。

     

    怒って効果があるときもありますが、たいてい、

    怒りは怒りでしか返ってきません。

     

    戦争なんて、まさにそれですよね。

     

    そんなとき、今回の横町の隠居みたいに、

    怒り以外で返せるとイイですよね。

    しかも、相手を笑わせられたら、理想的です。

     

    でも、なかなか怒りを覚えたときに、

    とっさに違う方法をとるのは難しいですよね。

     

    なので、普段から、怒りに対しての返し方、を

    練習しておくといいと思います。

     

    急かされたら

    「いまやっていますので、少々おまちください」

     

    嫌味を言われたら、

    「その言い方は、どうかとおもいますが」

     

    バカ、って言われたら、

    「バカと行った方がバカだ!」

     

    とか、自分なりの返し言葉を作っておくとイイと思います。

     

    お釈迦さまは真実を伝えるとき、

    相手を敬いながら、尊厳を傷つけないように、

    ユーモアを交えながら、伝えるそうです。

    ※詳しくは管理者日記 ブッダのユーモア を読んで!

     

    お釈迦さまのようにはできませんが、

    少しでも近づけるように練習しておくといいと思います。

     

    今日のHappy♪ポイント

    『 怒りはユーモアで返しましょう! 』

     

    | 嫌なことをされてもHappy♪ | comments(0) | - |









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